「ことばの相談室」だより

田中先生よりおとうさん、おかあさんより


平成31年1月の会報から(No.456, 2019/1/22)

12月25日、ことばの例会が行われました。

田中先生より

発音の発達について事例から紹介します。参考にしてください。(後半の部)

 1『事例2』M子さん、初回面接時は3歳2月です。現在は3歳6月です。主訴は吃音です。吃音症状は、最初のことばがつまってなかなか出ないような話し方でした。
会話のやりとりから、サ行、シャ行、ザ行、ラ行、「ツ」の音と、それ以外に、カ行、ガ行が言えません。
 サ行がチャ行・タ行に、シャ行がチャ行に、ザ行がジャ行・ダ行に、ラ行がダ行に、「ツ」の音が「チュ」の音に置き換わっていました。それ以外に、カ行はタ行に、ガ行はダ行になっていました。
 3歳6月の現在、動物や乗り物の擬音のことば遊びでは、時々「カ」「ガ」の音が言えるようになりました。しかし、物の名前や会話では、カ行、ガ行の音は出ていません。
発音の指導は、Y男君同様の内容です。今後の発音の見通しを説明し、安心してお子さんと楽しく過ごしてくださいと助言しました。今、話していることばを注意しないで最後まで聞いてあげること、発音がはっきりしなくてもお話をいっぱいする子どもに育てることが大切です。言えない音を正しく言わせようとするのではなく、言えている音でいっぱいお話しをすることが結果的に効果的な接し方になるのです。発音がはっきり言える子どもではなく、自分の気持ちを相手に伝えることができる子どもに育てることです。

 2『事例3』T男君、3歳11月です。主訴は発音がはっきりしない。カ行とサ行が言えない。
 評価を行いました。言語理解、言語表現、知的発達、発語器官機能、聴力、適応・コミュニケーションについての問題はありませんでした。
 発音は、サ行、シャ行、ザ行、ラ行、「ツ」の音と、それ以外に、カ行、ガ行、ハ行が言えません。
 サ行がタ行・チャ行に、シャ行がチャ行に、ザ行がジャ行に、ラ行がダ行に、「ツ」の音が「チュ」の音に置き換わっていました。それ以外に、カ行はタ行に、ガ行はダ行になり、ハ行は母音に省略されていました。
 方針としては、T男君の場合は、3歳11月の年齢から、サ行、シャ行、ザ行、ラ行、「ツ」の音は経過観察の音として判断する。カ行、ガ行、ハ行は、本児のコミュニケーション態度、言語発達、社会性、学習の構えでの問題がないこと、母親の不安等を考慮して、訓練を検討することとした。

 3『事例4』S子さん、4歳10月です。主訴は発音がはっきりしない。サ行が言えない。その他に吃音がある。
 評価を行いました。言語理解、言語表現、知的発達、発語器官機能、聴力、適応・コミュニケーションについての問題はありませんでした。吃音については、初めの音がつまって出にくい話し方がありました。
 発音は、サ行、シャ行、ザ行が言えませんでした。S子さんは、それ以外に、カ行、ガ行が言えません。
 サ行がタ行に、シャ行がチャ行に、ザ行がジャ行に置き換わっていました。それ以外に、カ行はタ行に、ガ行はダ行になっていまいた。
 S子さんは、その他の事例と違って、ラ行、「ツ」の音は出ています。
 方針としては次のように判断しました。4歳10月という年齢。来年4月から年長クラス。発音でラ行、「ツ」の音は出ている。幼稚園の担任からの指摘がある。周囲から指摘されたり、本人も少し意識している。母親も気にしており、一音一音正しく言わせるような話し方を試みている。本人に吃音がある。以上から訓練が適切であると判断しました。
 発音の問題も子どもによって色々と違います。その子に合った適切な対応が大切です。
 気になれば専門の方に相談されて、今後の見通しを持ち、安心して子どもに接することが大切です。
田 中 愛 啓
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<文責:木村謙一>