「ことばの相談室」だより

田中先生よりおとうさん、おかあさんより


平成29年4月の会報から(No.435, 2017/4/25)

3月28日、ことばの例会が行われました。

田中先生より

 年長の子どもの発音の問題から学ぶことについて紹介します。参考にしてください。
 保育園の年長クラスの子どもの発音の相談がありました。
 発音がはっきりしない。親は気にならないが、周りの人から何回も聞き返されたり、わからないことがあると言われる。周りからサ行が出ていないと指摘される。サ行がシャ行になっているようだ。本人も気にするようになってきた。保育士のA先生からも指摘されたが、B先生は気にならないと言われたとの内容でした。
 母親に「他に気になる音はありますか」との質問に、「ありません」との返事でした。
 検査をすると、サ行がシャ行になっていました。その他に、ザ行がジャ行になっていました。「ゾウサン」が「ジョウシャン」になります。
それだけではなかったのでした。「カ行」が「タ行」に、「ガ行」が「ダ行」になっていました。「亀」が「タメ」に、「学校」が「ダットウ」になります。子どもの名前にも「カ行」の音がありますので、知らない人にとっては聞き取れない場合が考えられます。
 しかし、実際に母親に聞いてもらっても「カ行」の音が言えていないことが分かりませんでした。母親にとっては「カ行」に聞こえてくるのです。私が指摘した後、音のみを聞いていただいて、やっと気付かれた次第でした。
 今回の子どものことばは、話の内容に耳を傾けて聞くとよくわかりますが、発音に視点を置いて聞くと気になるものです。母親にとっては、子どもが生まれてから今に至るまで一緒に生活をしているので、耳も慣れて、子どものことばが分かってしまうのです。子どもの発音を聞いてるのではなく、その中身、話の内容に耳を傾けているのです。
 その態度は母親としては素晴らしい接し方だと思います。従って気づくのが遅いと心配することはないのです。手遅れではないのです。気づいた時がスタートなのです。それが今と言うことです。
 子どもの発音がはっきりしないために、周りから何回も聞き返されたりわからなかったりすることは、実は「カ行」「ガ行」が言えないことに原因があることが考えられました。年長  クラスであり、名前にカ行があるので、訓練をすることにしました。
 発音についての母親の接し方は、他のことばの問題の接し方にも参考になります。
 ことばの遅れている場合は、はっきり正しく言うことよりも自分の気持ちを表現することが大切です。子どもが言おうとしている未熟なことばでも、はっきり言わせることではなく、分かってあげていっぱい話させることが大切です。
 吃音の場合は、どもっているかどうかの話し方ではなく、何が言いたいのかの話の中身、話したい内容に耳を傾けて聞いてあげたいものです。そうすると、不思議とどもることが気にならなくなります。ぜひ試してみてください。
田 中 愛 啓
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おとうさん、おかあさんより

○ありがとうございました。

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<文責:木村謙一>